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【兄上】は斎藤先生ですよvv
ってことで、お慰めするべく描かせていただきました!!
慰めになっているのか?という疑問はさておき・・・愛情はたっぷりです。

草でほとんど隠れるのに、ちゃんと体を描いたんですよ?
羽織のしわも悩みながら描いたのに、消えました(泣
空回りの愛情・・・・・・・??


=春日=
2005.02.10

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壱拾萬打お礼フリー小説です。4作目のフリー小説になります。
よろしかったらどうぞお持ち帰り下さいませvv

フリーの場合はなるべくカップリングを限定しないようにしてますので
今回もやはりセイちゃんは誰とも恋仲ではありません。

セイちゃんがお酒を飲んで絡む話はいくつか書いているのですが
歳と総司と3人で楽しそうに飲むというのはなかったですよね。
2人がセイちゃんのトラぶりに振り回されるところを書きたかったんです。

そして!は〜ちゃんの挿絵もそうですが、今回は斎藤さんに出演していただきました!
だって【兄上】はやっぱり斎藤さんですよ!
身内を褒めてなんなのですが、は〜ちゃんは益々腕を上げたようです。
背景の木や夜空なんか素晴らしいと思います!

「壱拾萬打」本当にありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。


=菜緒りん=
2005.02.10

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兄上〜〜っっvvv(毎回叫んでる管理人;)
いや、もうホント大好きです兄上!相変わらず不憫v(←え?)
しかし!転んでもタダでは起きない辺り、さすが斎藤一ですね。
そんな大声出してたら、屯所の外まで聞こえちゃいますよ〜副長?
二人が副長室に入った後、さぞセイちゃん達は腹を捩ったことでしょうv
まぁ14年下なんですから、兄上というより父上と言った方が適切かも?(笑)
そしてそして!春日様の兄上がめちゃくちゃ可愛いっ!!
大丈夫ですよ、兄上は間違いなく斎藤先生ですからねv
菜緒りん様、春日様、最高の品々をありがとうございました!
『Labyrinth』様へは、「環」の風光るページからどうぞ!

(『Labyrinth』様では、他にもDLF小説は展示されています。
全部飾らせて頂きたいのですが、今のウチではこれが精一杯です;すみません!)




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                     夢うつつ。。。










京都、西本願寺。新選組屯所である。

一番隊士、神谷清三郎(本名、富永セイ。実は女子)は
厠から部屋へと戻る途中の廊下で上司2人に出くわした。

「ねえ、土方さん!たまにはいいじゃないですかあ!」
…と半分拗ねたように言っている男は一番隊組長でセイの想い人、沖田総司である。
「何で俺がお前を連れて行かなきゃなんねんだ!」
うっとおしそうに言っているのは副長(総司が言うには自分の兄代わり)、土方歳三である。

(……またか……。)
セイはこの2人の言い合いは見飽きていた。
総司が土方に纏わりついて土方が嫌がる。
今では既に日常の何気ない(?)ひとコマと言ってもいいかもしれない。

しつこくくっついて行く総司も総司だが、土方も嫌なら突っぱねればいいのに
いつもとどのつまりには総司を受け入れる。
まあ、思いっきり文句を言いながらではあるが。

(放っておこう……関わると余計なとばっちりを食うかもしれないし。)
セイがそう思って踵を返し、元来た道を戻ろうとした時、背中から声がかかった。

「あ!神谷さあ〜んvv神谷さんも行きましょうよう♪」
総司が思いっきり明るく言った。
「待て!!神谷もかよ?!」
土方がこの上なく嫌そうに叫んだ。

(……むかっ!……)
それを聞いてセイはムカついて足を止めた。
(そんなに嫌そうにしなくてもいいじゃないのよ!)

確かにとばっちりを受けて土方にこき使われるは嫌である。嫌ではあるが、
あそこまでうっとおしそうに言われては、セイの性格上、黙ってはいられない!
ゆえにセイはゆっくりと振り向いた。

「はい、沖田先生?何ですか?」
…と凶悪そうな笑顔でニッコリと微笑む。
「あのね!土方さんがお料理のおいしいお茶屋さんを見つけたんですって!
だから連れて行って下さいってお願いしてたんです!」
総司が満面笑みで言った。
「はあ?!『お願い』だ?!んな、可愛いモンじゃねえだろーが?!
連れて行かねえと伊東の野郎(参謀、伊東甲子太郎。土方に激ラブvv)を
夜中に俺の部屋まで護衛するってんだろーが?!」

「土方さん。言葉は正確に伝えて下さい!その後に伊東先生が【事を成し終える】まで
私があなたを押さえつけるっていうのがあったでしょう?抜けてますよう?!」
「あ!じゃあ、先生は右側を押さえて下さい!私は左側を引き受けますから!」
「承知!」
総司とセイが顔を見合わせてコクリと頷き合った。

「………神谷……言っとくが、そーなったらお前もヤバイんじゃねえのか?!」
土方がこめかみをピクつかせながら言った。
「大丈夫です!神谷さんは私が守りますから!」
総司がドンッ!と胸を叩いた。
「///// 沖田先生vvありがとうございますぅ〜vvv /////」
セイが真っ赤な顔で言った。

しかし実は総司の思惑はセイが受け取った意味とは違っていた。
総司は何が何でも土方においしい料理を奢らせたかっただけなのである。
セイを伊東から守るというのが第一の目的ではなかったのである。
冷静に考えてみれば【野暮天】の総司がそんな事を言うのは
おかしいとすぐにわかりそうなものなのだが
珍しく優しげな言葉に舞い上がっているセイは
その事に全く気づいていなかった。

「………お前ら………。」
いつのまにか敵が1人から2人に増えてしまった土方は
最早返す言葉が出て来なかった。

「それに、私が寝ている場所は大部屋です。
すぐ傍に人がたくさん寝てるんだから【夜這い】は無理です。
でも?副長はいつも1人っきりですよねえ?(ニコニコ)
さてっ!ここで問題ですっ♪どちらが【夜這い】実行可能でしょ〜かっ?!」
セイが冷ややかな目つきでニコニコと微笑んだ。
「ぐっっ…………!」
土方は思わず絶句した。

「副長。ここは大人しく言う事を聞いた方がいいです。それともなんですか?
伊東先生に襲われても別に構わない……いや、襲われたいと?
ご存知だとは思いますが、沖田先生は【やる】と言ったらほんとにやりますよ?
この方は面白いと思った遊びは、何が何でもとことんやる方なんですから!」
相変わらず凶悪そうな笑顔のままでセイが言った。

「 ……………………。 」
考え込んでいる土方の目の前で、総司とセイが並んでニッコリと微笑んでいる。

「………賄い方に俺達3人の夕餉はいらねぇと言って来い。」
土方が消え入るような声でボソッと言った。





* * *





「きゃははは!きゃははははっ!!」
それから約一時後、茶屋にはセイの笑い声が響いていた。

「副長ぉ!沖田先生ぇって、ほんっっとに【野暮天】ですよねえ?!」
セイが土方に酒を注ぎながら言った。
「………ああ。そーだな………。」
土方が眉間に皺を寄せながらチラッと総司を見た。

「でっ!沖田先生ぇ?副長ぉは思いっっっきり【タラシ】ですよねっ?!」
今度は総司に酒を注ぎながらセイが聞いた。
「え………ええ、まあ………。」
今度は総司が引きつった微笑を顔に貼り付けて横目で土方を見る。

「全く!2人とも方向性は正反対だけど、女子泣かせに変わりないですねっ!!
足して2で割ったらどーですかっ?!そしたら世の中平和ですよっ!!」
そう言いながらセイは今度は自分で自分の杯に酒を注いだ。
そしてブツブツ言いながらグイッ!と酒を飲み干した。

「「 ………………………。 」」
土方と総司は無言で目を見合わせ、ズリズリとお互いに近づいてヒソヒソ話を始めた。

『おい……コイツがこんなに【トラ】だなんて聞いてねーぞ!』
『土方さんが悪いんでしょ〜?!調子に乗って酒を注いで飲ませるから!』
『だって、最初は笑い上戸なだけかと思ったからよ……。』
額を寄せ合ってコソコソ話している。

「……あん?!2人でコソコソ何言ってんですかあ?!」
セイが2人を睨みつけた。

「い…いや、別に………。」
「何でもないです………。」
ここは逆らわない方がいいと判断した2人は
大人しくまたズリズリと元の位置へと戻った。

「……何か言ってたくせにっ!……もうっ……何なのぉ?……………眠い…。」
セイは酔いが回って眠くなったのか、ブツブツ言いながらもコテン!と横になった。
そしてそのままスヤスヤ寝息をたて始めた。

「……おい!神谷!!こんなとこで寝るな!!」
土方が料理を突付いていた箸を止めて言った。
「神谷さん!!ほらっ!!風邪ひきますよ?!」
総司がセイに近づき、肩を揺すって起こそうとする。
「う゛ぅ゛〜〜ん!!いやんっ!!」
セイがうっとおしそうに、その手を振り払った。

「っったく!!しょ〜がねえなあ!!」
「仕方ないから負ぶって帰りますか?」
土方と総司が顔を見合わせて溜め息をついた。

「私が負んぶしますから、土方さん。すみませんが背中に乗っけてくれます?」
総司が背中を向けて少し屈んだ。
「ああ。ったく!………どっこいしょっと!!」
土方がセイを抱き上げて総司の背中に乗せてやった。
「う〜〜ん?………兄上ぇ?」
どうやら寝惚けて総司を亡くなった兄と間違えているらしい。
しっかりと自分から総司の首に手を回して抱きついた。
総司と土方が思わずクスッと笑った。

「まだほんとに童だな、コイツは!」
土方がポンッと軽くセイの頭を叩いた。
「う〜〜ん……父上ぇ?」
セイが少し眉を顰めてその手を振り払いながら言った。
「………俺は親父かよ………。」
それを聞いた総司が必死で笑いを堪えている。



夜道を屯所に向って3人で……いや、1人は負ぶわれて歩いている。

「くしゅんっ!」
総司の背中に負ぶさっているセイがくしゃみをした。
「あれっ?酔いざめしちゃったかな?」
総司が少し顔を後ろに向けてセイの様子を見た。
「ったく!!」
土方がゴソゴソと自分の羽織を脱いでセイの背にかけてやった。

「兄上vv……父上ぇ〜vvv」
セイが寝言を言いながら嬉しそうに笑ってまた寝息を立てる。
恐らく父と兄に囲まれている幸せな夢を見ているのだろうと
土方と総司はまたクスクスと笑った。


そしてそんな3人を草むらに隠れて不機嫌そうに見ている人物が1人いた。

そう!三番隊組長の斎藤一である。

巡察から戻って来て、セイが土方と総司と3人で楽しげに出かけたと聞き
何だか気になって帰って来るのを待っていたのであった。

「……【兄上】は俺だ!」

斎藤は3人の後姿をキッ☆と睨みつけてポツリと一言呟いた。




挿絵:春日





* * *





翌日、セイと総司、そして斎藤は廊下で座って茶を飲んでいた。
セイと総司は甘味を食べているが、斎藤は甘い物が苦手なので茶だけを飲んでいる。

「二日酔いは大丈夫なのか?神谷?」
斎藤がセイに聞いた。
「あ…はい。ちょっと頭が痛いんですけど、大丈夫です!」
「全く、参りましたよ!絡んだ挙句に寝ちゃうんだもん!」
「清三郎は【大トラ】だからな。」
「ええ?そうなんですか?!昨日もですか?!」
「『絡んだ』なんてモンじゃありませんよ!土方さんも私も、もう大変で……。」
総司が「ふぅ〜っ…。」と溜め息をついた。
「………私………何をしました?何か失礼な事を?」
セイは段々顔面蒼白になっていった。
「いや……私と土方さんにですね……。」
総司は夕べセイが土方と自分に【タラシ】と【野暮天】と言った後、父と兄と呼んだ事を話した。

「「 なんだ!そんな事(です)か! 」」
斎藤とセイが声を合わせて言った。

「清三郎、案ずるな。お前は真実を述べただけだ。
それに寝惚けて父や兄と間違えた事など取るに足りない事だ。
最も『兄上』は本当は俺だがな!」
「はい!もちろんです『兄上』!」

ニコニコと会話を交わしている斎藤とセイを見て総司が不満気にブツブツ言っていると
廊下の向こうから土方がやって来た。
「斎藤!ちょっと話があるから俺の部屋へ来てくれ!」

「……はい、承知しました。【父上】!」
斎藤が真顔で言った。

「「「 ???!!! 」」」
その瞬間、周りの3人は氷りついた。

「……………あんだと?」
「は?……『はい、承知ました』と申し上げたのですが?」
「それはいい!!問題はその後だ!!何て言った?!」

「………ああ。【父上】ですか?」
斎藤が無表情で答える。
「………俺がいつお前の親父になった………?」
「いや、だって。神谷の【父上】ならば、【兄】の私の父親という事でしょう?」
「 ………………。 」
土方はあまりにも淡々とした斎藤の口調に絶句した。

(総司……てめえバラしやがったな?)
土方は総司を無言で睨んだ。

セイは両手で口を押さえ、総司はお腹を抱えて必死で笑いを堪えている。

「……………とにかく………俺の部屋へ来い!斎藤!!(怒)」
「はい。【父上】。」
「【父上】じゃねえ!!」
「そんなに怒らなくても…………【父上】。」
「言うなあぁぁ        っっ!!」

土方の怒鳴り声と斎藤のボソボソ呟く声が
2人が副長室の中に消えてしばらくするまで、ずっと屯所に響いていた。