大童たち
京都・西本願寺、新選組屯所。副長室である。
部屋の中には部屋の主である土方歳三と
彼の小姓、神谷清三郎(本名:富永セイ 実は女子)
そして自称土方の弟分である沖田総司(一番隊組長)がいる。
総司は隊務の間で時間が空くと甘味持参でしょっちゅうこの部屋へ遊びに来ていた。
今日も今日とて例外ではない。
良い日和なので、障子を開け放して3人で茶を飲んでいる。
日頃は何かと忙しい土方もこの日ばかりは忙中閑ありといった感じであった。
そこへ隊士が一人やって来た。
「失礼します。副長に文が届いております。」
「あ!はい!」
小姓のセイが立ち上がって文を受け取りに行く。
「ご苦労様でした。」
隊士に挨拶をして何気なく差出人を見る。
「・・・・・・ぷっ!」
そして思わず噴出した。
「??神谷さん?どうしたんです?」
総司が不思議そうに聞いた。
「いいえ・・・・・別に。はい、副長!文ですよ♪」
セイがニヤニヤ笑いながら文机の前に座っている土方に文を手渡した。
眉間に皺を寄せながら文を受け取った土方は差し出し人を確かめる・・・・・そして・・・・・・。
「げっっ!!またかよ?!あいつ!!」
土方はこれ以上崩しようはないというほど顔を顰めて言った。
「???土方さん?誰からなんです?」
総司は全く状況が掴めていなかった。
「古川からだよ!古川兼定!!」
古川は和泉の守を冠する刀の名工だが、事情があって(刀を鍛てなくなって)
一時期入隊していた事があった。その入隊理由が土方に惚れたからだったのである。
土方の刀(武器)に対する考え方に陶酔したのであるが、ちょっと・・・・衆道っぽい感じが見受けられ
衆道が死ぬほど嫌いな土方はびびりまくっていたのであった。
「古川さんですか!懐かしいですね!・・・・で、何て書いてあるんですか?」
「あ゛?・・・『お元気ですか?刀の具合はいかがですか?
不都合があればいつでもお申し付け下さい。すぐにお直し致しますゆえ!』・・・だとさ!」
土方は文を読み終えて机の上に置いた。
「いい人じゃないですかあ!そんなに嫌がらなくったっていいのに・・・・・。」
「・・・・・・お前なあ・・・・・ひと月にこれと同じ様な内容の文が何通来ると思ってやがんだ?!」
土方が総司を睨みつけながら言った。
「・・・・・・そんなにたくさん来るんですか?」
「ひと月に10通だぜ、10通!!」
「じゅ・・・・・・10通?!10通って・・・・・3日に1回?!」
総司はあまりの事に呆然としている。
セイはその隣で「ひーひー」言いながらお腹を抱えて必死で笑いを堪えている。
「お前、いくら何でも3日ぐらいで刀の様子が変わるか?!普通?!!」
「そうですよねぇ・・・・・でも、いつ斬り合いになるかは確かにわかりませんけど?」
「俺はお前達みたいに出歩いてねぇんだから、そんな事あるかっ!!」
「まあ、そうですよねぇ・・・・・。」
「で・・・・・でも古川さん、楽しい人だったし!」
セイが涙を拭きながら言った。
「いい人だろうが何だろうが!俺は衆道が大っ嫌いなんだよっ!!」
「ああ・・・・・11才の時に奉公先の番頭さんに掘られかけたからなんですってねぇ?」
セイが『どキッパリ!』と言った。
「///// ??!!て・・・・・てんめぇ・・・・・何でそんな事知ってやがる??!! /////」
「それから17才の時に奉公先の女中さんを孕ませて追い出されたんですってねぇ?
いや、さすがさすが!!」
そしてそれをバラした張本人はあさっての方向を向いて知らん振りしている。
「///// 総司ぃぃ───っっ!!!てめぇしかいねぇだろーが!!
こいつにこんな事バラしやがるのはっっ!! /////」
「ご・・・・・ごめんなさい。モノの弾みでつい・・・・・。」
総司がエヘヘ♪と笑いながら言った。
「こうなったらお前の事もバラしてやる!!
神谷、こいつはなあ、9才の時にまだチビッてやがったんだぞ!!」
「え・・・・・・チビってって・・・・・・。」
「///// ひ・・・・・・土方さん!!!ひどいですよう!!! /////」
総司の抗議を全く無視して土方は話を続ける。
「こいつ最初に試衛館に来た時に周斎先生(近藤周斎 近藤の義父)の奥方が恐くてチビって、
近藤さんの顔が恐くてチビって、俺に怒鳴られたのが恐くてチビりやがったんだ!!!」
「お・・・・・お・・・・・沖田先生・・・・・・信じらんない・・・・・。」
セイは思わず身を後ろに引いた。
「馬鹿にしてますね?2人共私を!・・・・・・いいですよ。
それなら私も神谷さんの秘密をバラしますよ!!」
「??!!」
「お?何だ何だ?面白そうだな!!」
土方が身を乗り出すようにして聞いた。
「この人小さい頃から『武士(おとこ)』になるんだって言ってたらしくってね!
8つの時松本法眼(幕府御典医:松本良順 セイの亡くなった父の友人)に
『キ○○マはどこから調達するんだ?』って言われたそうですよ!!!」
「///// お・・・・・沖田先生!ひどい!!・・・・あんのタレ目ガニ股助平ハゲおやじぃ〜〜!!
今思い出しても腹が立つぅ〜!! /////」
セイは膝の上で両方の拳をグッと握り締め震わせている。
今度は土方がお腹を抱えてギャハギャハ笑っている。
「お・・・・・・お前ら最低!!」
土方のその言葉を聞いて当然ながら総司とセイが噛み付いた。
「土方さんにだけは言われたくないですね!!」「副長にだけは言われたくありませんっ!!」
「あ?!どーゆー意味だよっ!!お前らより俺の方がよっぽどマシだろうが!!」
「私や神谷さんは子供の時の話しじゃないですか!!可愛いモンですよ!!」
「そうですよ!!人に迷惑かけてません!!」
「///// あ・・・・・わ・・・・・私は近藤先生に迷惑をかけました・・・・・・・。 /////」
総司が俯きながら言った。下帯を洗ってもらったりしたらしい。
「何だ!!じゃあ、私が一番まともじゃないですかあ!!」
セイがド〜ンと(小さい)胸を張って言った。
「あんだと?8つの時に『キ○○マはどこから調達するんだ?』なんて聞かれる
女子がどこにいる?!どこがまともだっつーの!!」
「///// ふ・・・・・副長みたいに滅茶苦茶やるよりマシですっ!! /////」
「そうですよぉ!!いくら何でもマセすぎですっ!!年上の女中さん孕ませるなんてっ!!」
「そぉ〜だ、そぉ〜だっ!!」
セイが右手の拳を突き上げて同調する。
「////// あ・・・・・・あれは向こうが!! //////」
「向こうが誘ったにしたってそれをちゃんと『受けた』んでしょ?!同じ事じゃないですかあ!!」
「そのとおりぃ!!」
セイは今度は両手の拳を突き上げている。
「・・・・・・ん?待って下さいよ?・・・・という事は
私が初めて会った時には既に孕ませた【後】だったんですね・・・・・?」
「・・・・・あれ?待って下さいよ?・・・・っつー事は
副長には私と【2つ3つ】しか違わない子供がいたって事ですか・・・・・・。」
「うぐっ!!」
土方は一気に言葉に詰まって固まった。
「「 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 」」
総司とセイは土方をしばらく無言でジッと見つめた。
「最っ低ぇ〜!!」
総司が言った。
「副長♪これから『父上』って呼んであげましょうか?『父上ぇ』♪」
セイは土方の着物の袖を掴んで揺すぶりながら言った。
「てめえらあ・・・・・・うるせぇぇ────────っっ!!!!!」
ギャースカ、ギャースカ騒ぐ声が聞こえてくる副長室のちょうど向かい側の廊下では
斉藤一(三番隊組長)がのどかに刀の手入れをしていた。
騒がしい副長室に目をやり、ほとんど表情を変えずに微笑みながら彼はポツリと言った。
「ふふ・・・・・・大童たちが・・・・・ああ・・・・・・それにしてもいい天気だ・・・・・・。」
そして真っ青な空を仰いだ。
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あ・・・・・あのね?いいのかな・・・・こんな小説をフリーにしちゃって・・・・?
あ!すみません。こんなのでもし良ければお持ち帰り下さい。
もっとシリアスなそれらしい小説を書くのが本当だと思うんですけど。
何だかこうなっちゃいました!
でも、ここだけの話し、私の本来の姿はコレです!(どキッパリ!)
書いてて気持ち良かったりしてぇ〜♪
いわゆる『人に言えない恥ずかしい話』の暴露のし合い・・・・でございます!
ちなみにこの小説ではセイちゃんは歳とも総司ともまだ恋仲ではありません。あしからず。
それから実は私、古川さんの事が大好きなんですよね・・・・・。本編でももう一回ぐらい登場して欲しい!
かっし〜も好きvvv 古川さんも好きvvvvv 私はやっぱり「まにあっく」なのでしょ〜か?
最後の斉藤さんの登場はちょっと無理矢理なんですが
最近斉藤さんが気になって気になって!
無理に出演していただきました、ええ!お忙しい身なんですけどね?
・・・・・・すみません・・・・・・。
次の「弐萬打」の時にはもう少し精進します・・・・・予定です・・・・・が・・・・・・予定は未定!
=菜緒りん=
2004.05.20
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菜緒りん様の風光るサイト、『Labyrinth』様が開設四周年を迎えられました!
菜緒りん様はオリジナル小説サイトも運営されてまして、それも含めて素敵な小説ばかり!
数も豊富で、面白いものから切ないものまで幅広く書かれていますv(尊敬!)
この「大童たち」も最初から最後までニヤニヤしっ放し♪
ありがとうございました〜!!
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